内臓脂肪を落とすには、脂肪を消費する有酸素運動を定期的に継続して行うことが必要です。

だからこそダイエットを目指す人たちは有酸素運動を行うのですが、有酸素運動だけではなかなか結果が出ないと感じている人が多いのも事実だと思います。 先ほど、私たちが一日に消費しているエネルギーの約七○%は基礎代謝だとお話ししました。
ということは、運動で消費されるのは、多く見積もっても全体の三○%だということです。 じつはここに、運動だけではなかなかやせない理由があるのです。
皆さんは運動によって消費されるエネルギーがどのくらいかご存じでしょうか。 三十分間ウォーキングをした場合の消費エネルギーは約一四○キロカロリーと先に述べましたが、これをジョギングに変えてもスピードにもよりますが消費エネルギーは一六○キロカロリー程度にしかなりません。
しかも、この一四○キロカロリーが、すべて脂肪の燃焼につながるわけではありません。 有酸素運動をした場合、糖と脂肪の消費される割合は一対一なので、脂肪が燃焼されるのは一四○カロリーの半分、七○キロカロリーだけです。
七○キロカロリーとは、脂肪の量にするとどのくらいかというと、脂肪は一グラム約九キロカロリーなので、わずか八グラムです。 さらに、その脂肪もすぐに燃焼されるわけではありません。
有酸素運動で脂肪が燃焼するには時間がかかります。 なぜなら、脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されてからでないと燃焼されないからです。
よく有酸素運動は、三十分以上継続して行わないと脂肪燃焼効果がないといわれますが、それは、この「分解」が行われるまでに時間がかかってしまうからなのです。 ところが、この分解を速める秘策が一つだけあります。
それは、「成長ホルモン」を出すことです。 成長ホルモンとは、脳の下垂体から分泌される人間の成長を促すホルモンです。
おもな働きは骨や筋肉の成長を促すことですが、このホルモンの働きはそれだけにはとどまりません。 じつはこのホルモンは、脂肪を分解する働きももっているのです。
体を成長させるのに必要不可欠な成長ホルモンは、子どものころはさかんに分泌されますが、体の成長が終わるニ十歳ごろを境に減少していきます。 成長ホルモンの分泌がもっとも多い十代のころと比べると、五十代の分泌量は五分の一以下にまで低下してしまいます。
年をとるとやせにくくなるのは、この成長ホルモンの減少が関係していたのです。 年齢とともに分泌が低下するといっても、あきらめる必要はありません。

なぜなら、もちろん老化を完全に食い止めることができるわけではありませんが、努力によっては、成長ホルモンの分泌量を増やすことができるからです。 では、どうすれば成長ホルモンが出るのでしょう。
じつはその答えが、「無酸素運動」なのです。 無酸素運動だけでは脂肪は消費されません。
消費されないのですが、無酸素運動をすると、成長ホルモンが分泌されるので脂肪の分解が進みます。 しかも、無酸素運動によって一度成長ホルモンが出ると、その分解効果は六時間も持続するのです。
そのため、先に筋トレのような無酸素運動を行ってから、有酸素運動を行うと、無酸素運動を行った段階で脂肪の分解が進むので、有酸素運動を始めてすぐに脂肪の燃焼が始まり、有酸素運動による脂肪の燃焼効率が飛躍的に高まります。 有酸素運動だけでは十五〜二十五分ぐらい運動しつづけないと脂肪燃焼が始まらないのが、事前に無酸素運動を行うと、有酸素運動を始めてからわずか五分〜十分程度で脂肪燃焼の段階に入ることができるということです。
では、有酸素運動だけを行った場合と、無酸素運動を行ってから有酸素運動を行った場合では、結果にどれくらいの違いが出るのでしょうか。 これに対し、無酸素運動を有酸素運動の前に行った場合は、有酸素運動の時間と回数は同じでも、一年間でなんと約三・五倍、三・五キログラムもの脂肪が消費されるのです。
先に引用した、三十分間のジョギングを例に考えてみましょう。 三十分間ジョギングをした場合、消費される脂肪の量は約八グラムでした。
この運動を三日に一度、一年間続けると、約一キログラムの内臓脂肪を消費することができます。 これほどの違いが出るのは、筋トレのような無酸素運動を行うと、三か月目ごろからは、脂肪燃焼効率がよくなるのに加え、基礎代謝も上がってくるからです。

有酸素運動の前に、ちょっとした筋トレをやるかやらないかで、ダイエット効果に三・五倍もの違いが出るのです。 私はこの「有酸素運動の前に無酸素運動を行うトレーニング法」を成長ホルモン活用法と呼んでいます。
筋トレをやらずに有酸素運動をするのはもったいないと思いませんか?低体温とは少し違うのですが、多くの女性が苦しんでいる「冷え性」も、筋肉を鍛えることで治すことができます。 低体温は、体温そのものが三六度以下に低くなっている状態をいいます。
これに対して冷え性というのは、体の中心部の体温はそれほど低くないのに、手先や足先といった体の末端の血行が悪く、異様なほど冷たくなってしまうという病態のことです。 実際には男女の区別なく起こりますが、冷え性で苦しむのは、ほとんど女性です。
では、なぜ女性ばかりが冷え性になるのでしょう。 原因はいくつか考えられますが、その中でも大きな要因となっているのは、低血圧と運動不足です。
まず血圧が低いと、体のすみずみまで血液を行き渡らせることができなくなるので、こうしたニつの要因によって、女性は、手足の血行だけが極端に悪くなる「冷え性」になってしまうのです。 冷え性を改善するもっともよい方法は、血行が悪くなり冷えやすい下半身の筋肉を鍛えることです。
とくに足の筋肉は、「第二の心臓」と呼ばれるほど、血液の循環に大きな役割を果たしています。 でも、足の筋肉を鍛えるメリットは、たんに血行がよくなるだけではありません。

筋肉が増えると、筋肉自体が熱をつくりだすので、血行改善と合わせて二重の効果で冷え性が改善されるのです。 足の筋肉を鍛える基本は、やはり歩くことですが、ふくらはぎに太もも、そして腰の筋肉を一度に鍛えることができるスクワットもお勧めの運動です。
この場合も、先に息を止めて無酸素運動としてスクワットを行ってから、呼吸を整どうしても末端の血行が悪くなります。 また、女性はただでさえ筋肉量が男性より少ないので、運動が不足すると筋肉の絶対量が足りなくなり、末端から血液を体の中心部へ送り返す力が弱くなってしまうのです。
有酸素運動としてスクワットを行うと、下半身の余分な脂肪が落ちるとともに、必要な筋肉がつくので、引き締まった美しい下半身をつくりながら、冷え性を改善することができます。 ただ、冷え性の人が運動をする場合は、事前に必ず充分なストレッチを行ってください。
筋肉が冷えて硬くなった状態のまま急に動かすと、かえって筋肉を痛めることにもなりかねません。 そういう意味では、お風呂で体を温めてから運動するのも、よい方法です。
「冷え」はどんなものであれ、それだけで体にとっては大きなストレスです。 そのため冷え性を放っておくと、そのストレスによって自律神経のバランスを崩し、体全体が冷える「低体温」へと病態が進行してしまうこともありえます。

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